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毎日の豊かな現代生活は、衣・食・住の全てに見られるように、夥しい数の素材や色彩によって成り立っています。これら極彩色に取り囲まれた生活環境は、私たちの前に、活き活きしたリアルなシーンを数多く創り出します。その結果、私たちは視環境的には多くの恩恵を受け、快適な生活を送ることが出来ました。しかし、一方これらメリハリの強い調子から成り立つ色環境は、たとえ視認性は良好だとしても、ややもすると過剰な情報となり易く、視覚的な疲労や心理的煩わしさを増加させ、その結果ストレスを覚えることが少なからずあることも事実です。これは、色彩の過剰な刺激や氾濫により、視環境が不安定な状態に陥っていることを意味しています。
私は現在、特にモノクローム(白黒)写真に拘って創作活動をしておりますが、これは次のような理由によるものです。
時として、真青な空や、真白い雲を、また緑の木々や、たおやかな海を、静かにじっと見つめた時、何か心の中にホッとした気持ちが芽生え心が癒されたという経験のある方は大変多いものです。これらを視覚的な側面から分析すると、明度や彩度の変化が、単一色相の中で程良くバランスされ、人の心に静かに働きかけた結果であることがよく分かります。モノクローム写真は、輪郭、質感、形態などが、光と影により単純化され、翻訳された状態であり、その表現手法は、黒から白までの無限の諧調の再合成によって成立しています。ですからこの表現方法は、人間の生活の場であるインテリア空間とも良く調和するだけでなく、全てをつまびらかするようなカラー写真とは明らかに異なり、日頃それらを良く眺めたり、それらがインテリアの一部として、そこにあるというだけで、日々のストレスから心を解放し、気持ちが癒される効果が大きいと思っています。
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